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「雪だ……!」
「雪だな」
「ぴよぴー」
真っ白く染まる森を見て歓声をあげる私もとい僕。
ほら雪だよー、と隣を歩く少年のポーチから頭を出しているルーに言葉を向ければ元気の良い返事が返ってきた。
晴れた空に雪がキラキラと光っている。踏みしめればさくさくと音がする。
しかしこの白さはあの子を思い出すなあ、とちょっとトリップしていたら軽く額を小突かれて現実に強制送還。
額を押さえながら見上げれば、見事なしかめっ面とご対面。
あ。怒られる?
「見とれてる場合じゃねえだろ。つうかビルお前、何でそんな厚着……」
「寒いのは苦手だからですサー!」
「鳥だけに鳥はdげふん、そうじゃなくて何でそんな準備万端なのかを聞いてるんだっつの!」
「備えあれば憂いなし?」
「言えよ……!」
全く、とぶつぶつ言いながら顔をしかめ腕をさすっている少年、タスク。
日に焼けて赤茶けた髪と落ち着いた黒い目、まだ成長途中とは言え僕から見れば大きい体。
基本的に荒っぽいのは環境のせいなのかなー。でも何だかんだでとても面倒見が良いのはここ数日でよくわかった。
改めて彼を見やれば海の男?らしい格好。端敵に言えば軽装。
……うん、寒そうだ。
だけど、セティちゃんから貰った装備を持ってきたのがこんなに早く役に立つとは僕自身思ってなかったんだ。
それもその筈。この辺りにだけ雪が降っているのだ。不自然なほど局地的に。
そういえばそんな地域があると聞いたことはあったけど、まさかこんなに近くの話だったなんて。
ずうっと遠くのお話のように聞いていたのに。
さておき、タスクが寒さでまっしろくなってしまう前に笛を吹けば、ルーがやんわりと光りながら発熱を始める。
「うん?……ぉー、あったけ。サンキュなルー」
「ぴよ!」
「あんまり温度調節得意じゃないから熱すぎたら言って……っていうか僕は!?」
「身を挺してるのはルーだろ?」
「上着貸したげようか?」
「着れねえよ」
それもそうか。
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だんだんと進むにつれて雪が深くなっていく。
これ以上酷くなれば歩いていく事もままならないだろうし、晴れているとは言え冷え込みは激しくなっていく。
引き返すべきじゃないか、という空気になってきたところで周囲を確認すれば、見えたのは煙。
その方角へ歩いてゆけば小さな集落が見えた。
「……もしかして!目的地、かも」
「ま、この辺りに他の村はありそうにねえしな」
隠れ里レヴィアン。
そこに不思議な力を持つ何か、がいるという言い伝えがあると聞いて、目的地の一つに定めた場所。
まさかこんなに雪深い中にあるとは思いもしなかったけれど……
とにかく、話を聞きたい。
「あんまり逸ンなよ?ただでさえ警戒されかねない話を振るわけだしな」
「おーけー了解。それとなーく、だね」
できんのかこいつ……とでも言いたげな視線を受けつつもそう頷いたところで、子供たちのはしゃぐような声が聞こえてきた。
……歓声の中に悪魔だとか聞こえる気がするんだけど気のせいだろうか。
まあでも子供のときって天使だとか悪魔だとか、良いものと悪いものを表現する時によく言う気がする。
後は、強い悪役に憧れるとか。
実際子供たちを良く見ていると、悪魔様と呼ばれたゴーグルの男の子が指示を出し他の子供たちが一斉に雪玉を投げる、という図式みたい
だ。雪合戦と戦争ごっこが混じったような感じかな?
子供たちは元気でいいねえとタスクに視線を向けたら妙に厳しい顔だったのでそれ以上の句が告げずに口を噤み。
どうしたのだろうと肩を叩こうとしたそのとき。
「見かけない顔ねえ。どうしたの、迷い込んだ?」
突然かけられた声に手を引っ込めながら其方を向けば、優しそうなお婆さんが両腕に毛皮を抱えてこちらを見ていた。
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酷いでっちあげになりました。
海賊ならばいろんな情報をいろんなところから得ているのだから、どの村とまでは知らずとも悪魔崇拝をしている地域があることは知ってそうかなあと。
あと氷属性の悪魔様を崇拝する村だったらビル追い出されるんじゃなかろうか……(火属性…)
うむう、クインシィさんとこの「ぴよー」まで行かなかった……!
(そこからでっちあげればよかったのか……)
仲間にしている自分の説明。
・ルミナスバードの伝説のある村で暮らしていたのは本当。
・でも実際に今は存在しない。
・神官は代々鳥を相棒にしてきた。
・トリス(ビル)にとってのルーがそう。
・ルー=ルミナスバードではない。あやかった名前なのは確か。
・発光や炎は術者自身を反映しているものである。
・ようするに媒介のような。
(・そのため噂がへんに広がって攫われてしまったが、ビルがいなければそりゃあ光らないよねと言う話)
ということで、女の子であることとルミナスバードの転生やらは伏せています。